「図面通りの直径で作ってもらったはずなのに、いざ組み付けてみるとうまくはまらない」「取り付けたら微妙にガタつく」——金属部品の発注や検査に関わっていると、こうした経験をすることがあります。
実はこの原因、直径や長さといった「サイズ」ではなく、「真円度」「平行度」という、部品の”形そのもの”のズレにあることが少なくありません。今回は、この2つの言葉をできるだけ専門用語を使わずに説明します。
「サイズが合っている」と「形が正しい」は別の話
金属部品の図面には、大きく分けて2種類のチェック項目があります。
- サイズのチェック:直径や長さが、指定した範囲に入っているか
- 形のチェック:丸いはずの部分が本当にきれいな丸になっているか、平らな面同士がちゃんと平行になっているか
このうち「形のチェック」にあたるのが、真円度や平行度です。日本産業規格(JIS B 0021)でも、サイズの基準とは別に、形や向きの基準がきちんと分けて定められています。
大事なポイントは、直径が図面通りだからといって、「形も正しい」とは限らないということです。
真円度とは:測った数字は合っていても、実は歪んだ丸
真円度とは、簡単に言うと「本当にまん丸かどうか」を表す指標です。
たとえば、コインのような丸い部品があるとします。上下方向で直径を測ると30.00mm、左右方向で測っても30.00mm、数字だけ見れば図面通りです。ところが実際の形は、少しだけ楕円(たまご型)に近いことがあります。測る場所によってはたまたま同じ数字になってしまい、直径のチェックだけでは「合格」に見えてしまうのです。
測定機器メーカーのミツトヨの解説でも、真円度は円形の部分が理想的な丸からどれだけズレているかを表すもの、とされています。
回転する軸や、隙間なくぴったり合わせたい部品では、このわずかな歪みが振動・異音・すきまからの漏れといったトラブルにつながります。
平行度とは:面と面、軸と軸が「まっすぐ揃っているか」
平行度は、ある面や軸を基準にしたときに、もう一方の面や軸がどれだけ傾かずに揃っているかを表す指標です。JIS B 0021では、こうした「向き」に関する精度として定義されています。
たとえば、本を2冊重ねる場面を想像してください。下の本の表紙が完全に水平でも、上の本の表紙が少し傾いていたら、2冊を重ねたときに全体が斜めになってしまいます。金属部品も同じで、上面と下面が平行であるべき部品の平行度がわずかにズレていると、他の部品に取り付けたときに、装置全体の傾きとして表れてしまいます。
工作機械のように、部品を何段階も積み重ねて組み立てる製品では、一つひとつの部品の小さな傾きが積み重なり、最終的な精度に大きく影響します。
サイズの検査だけでは足りない理由
ここまでをまとめると、「サイズが図面通り」であることと、「部品として正しく機能する形をしている」ことは、必ずしも同じではありません。
特に次のような部品では、真円度・平行度の管理がサイズと同じくらい重要です。
- 回転する部品(軸、ローラーなど)
- ぴったり密着させて使う部品(シール部分など)
- 何段階も積み重ねて組み立てる部品
正しい形を保つために必要なこと
真円度や平行度を安定して満たすためには、加工の条件だけでなく、部品を機械に固定する「治具」や「チャック」の精度が大きく関わってきます。固定するときにわずかでも歪みが出れば、削り上がる形そのものが歪んでしまうためです。
有限会社田中機工では、部品の形に合わせて専用の特殊爪チャックを自社で製作しています。これにより、固定時の歪みを抑え、真円度・平行度を保ちながら、加工精度10ミクロンを実現する体制を整えています(参照:田中機工公式サイト)。市販の汎用チャックでは対応が難しい形状でも、専用に設計した治具で、サイズだけでなく形そのものの精度まで管理しています。
また、測定に使うマイクロメーター自体の精度も、セラミックス製のブロックゲージを用いて社内で定期的に校正しており、測定結果の信頼性を自社内で管理する体制を整えています。
発注するときに確認しておきたいこと
図面に真円度・平行度の指示がある部品を依頼する際は、次の点を聞いてみると安心です。
- サイズだけでなく、真円度・平行度も測定して確認しているか
- 使う治具は、その部品専用に作られたものか、既製品の流用か
- 測定に使う機器(マイクロメーターなど)の精度を、どのように管理しているか
価格や納期だけでは分からない部分ですが、実際の部品の使いやすさや耐久性を左右する、重要なチェックポイントです。
まとめ
真円度・平行度は、「サイズ」とは別の視点で部品の形を保証する指標です。サイズが図面通りでも、形が歪んでいれば、組み付け不良や振動、漏れといったトラブルの原因になります。
有限会社田中機工は、1989年の創業以来、自社製作の特殊爪チャックによって、サイズだけでなく形そのものの精度まで管理してきました。「サイズは合っているはずなのに、うまく組み付かない」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。




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