「軽くて錆びにくいから簡単そう」純アルミニウムの切削加工が意外と難しい理由

「アルミニウムは柔らかいから、加工しやすい材料だろう」——そんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。実際、多くのアルミ合金は削りやすい材料として知られています。しかし、その中でも「純アルミニウム」と呼ばれる種類は、柔らかすぎるがゆえに、かえって精密な加工が難しい材料の一つです。

今回は、純アルミニウムを削るときに起こりやすいトラブルと、その対策について解説します。

純アルミニウムとはどんな材料か

純アルミニウムは、他の金属をほとんど混ぜていない、純度の高いアルミニウムです。合金にすることで強度を上げたアルミ合金とは異なり、軽さ・錆びにくさ・電気や熱の伝わりやすさに優れる一方、強度そのものは高くありません。この特性を活かして、食品機械の部品や、電気を通しやすい性質が求められる部品などに使われています。

一般的なアルミ合金の多くは切削加工に向いた材料とされていますが、切削工具の専門販売サイトの解説によると、純アルミニウム(1000系と呼ばれる種類)は粘り気が強く、切削加工にはあまり向かない材料とされています。柔らかいからこそ、削るときに独特の難しさが出てくるのです。

起こりやすいトラブル1:刃物に「くっついて」しまう

金属を削ると、刃物の先端に熱と圧力がかかります。純アルミニウムのように柔らかく粘り気のある材料は、この熱で溶けたような状態になり、刃先に貼り付いてしまうことがあります。これを「構成刃先(こうせいばじん)」と呼びます。

刃先にアルミの塊がくっついたまま削り続けると、本来の刃物の形とは違う、いびつな刃で削ることになってしまいます。その結果、加工した面がざらついたり、寸法にばらつきが出たりします。切削工具の専門販売サイトの解説でも、構成刃先が刃先に付着して固まると、切削精度が大きく落ちると説明されています。

起こりやすいトラブル2:バリが出やすい

純アルミニウムは、他の金属に比べて「伸びやすい」性質があります。刃物で削るというより、材料が少し伸びながら切れていくようなイメージです。このため、加工した部品の角やエッジに「バリ」と呼ばれる、薄く鋭いはみ出しができやすくなります。

バリをそのまま放置すると、手を切るなどのケガの原因になったり、他の部品とうまく組み合わなかったりするため、削り終えた後にバリ取りという追加の工程が必要になります。

起こりやすいトラブル3:温度による寸法変化

金属は温度が変わると、わずかに伸び縮みします。この伸び縮みのしやすさを表す数値を「線膨張係数」と呼びますが、MISUMIのmeviyによる解説では、アルミニウムの線膨張係数は鉄のおよそ2倍とされています。つまり、同じ温度変化が起きた場合、アルミニウムは鉄の部品よりも大きく寸法が変わってしまうということです。

削っている最中に発生する熱や、加工する部屋の温度変化によって、ミクロン単位の精密な寸法を求められる部品では、この影響が無視できなくなります。

こうしたトラブルへの対策

これらの課題に対しては、一般的に次のような対策が取られます。

  • 刃物の状態や切削条件を細かく管理する:刃先へのアルミの付着を防ぐため、切れ味の良い刃物を使い、状況に応じて回転数や送り速度を調整する
  • クーラント(切削油)で冷やしながら削る:熱の発生を抑えることで、付着や寸法変化を防ぐ
  • バリ取り工程を必ず組み込む:削って終わりではなく、仕上げとしてバリを取り除く工程まで含めて品質を管理する

有限会社田中機工では、こうした純アルミニウムを含む難削材の加工に長年取り組んできた経験をもとに、材質ごとの特性に合わせた条件出しと、部品形状に合わせた専用の特殊爪チャックによる加工で、Φ10mmからΦ200mmの部品において精度10ミクロンを実現する体制を整えています(参照:田中機工公式サイト)。

発注担当者が確認しておきたいポイント

純アルミニウム部品の加工を依頼する際は、次の点を確認しておくと安心です。

  • 純アルミニウムを含む難削材の加工実績があるか
  • バリ取りなどの後工程まで含めて対応してもらえるか
  • 精密な寸法が必要な場合、温度変化への配慮がされているか

「柔らかい材料だから簡単」というイメージとは裏腹に、純アルミニウムの精密加工には材料特性を理解した経験が欠かせません。

純アルミニウムは、軽さや錆びにくさに優れる一方、柔らかく粘り気があるために、構成刃先・バリ・温度による寸法変化といったトラブルが起こりやすい材料です。これらを防ぐには、切削条件の管理、クーラントの活用、バリ取り工程の徹底が欠かせません。

有限会社田中機工は、1989年の創業以来、純アルミニウムをはじめとする難削材の切削加工に取り組んできました。純アルミニウムの加工でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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