「最初の1個が図面どおりにできていれば、残りも同じようにできているのでは?」。部品加工を依頼するとき、加工後にどこまで確認しているのかは、外から見えにくい部分かもしれません。
同じ材料を、同じ機械や工具で加工していても、一つの部品が合格したことだけで、残りの部品まで確認できたことにはなりません。田中機工では、すべての加工品について、一つひとつ全品検査を行っています。今回は、その確認を大切にしている理由をお話しします。
「1個の合格」で終わらせない理由
金属加工では、工具の刃先が少しずつ摩耗したり、加工中の熱の影響を受けたりすることがあります。同じ手順を繰り返していても、加工の状態がずっと同じとは限らないのです。
たとえば、軸と穴を組み合わせる部品を考えてみてください。外観がよく似ていても、組み合わせに関わる寸法が違えば、入りにくくなったり、必要なはまり具合が得られなかったりすることがあります。「同じように見える」と「必要な条件を満たしている」は、分けて考える必要があります。
だからこそ、最初の1個が良かったという結果だけで終わらせず、その後にできた部品も一つひとつ確かめることを大切にしています。
全品検査は、すべての加工品に向き合うこと
田中機工の全品検査は、特定の材質や、特別に精度が厳しい仕事だけに限った取り組みではありません。すべての加工品を対象にしています。
ここでいう「全品」は、検査する個数の話です。一方、どの寸法や箇所を、どのように確認する必要があるかは、部品ごとの図面や要求によって変わります。すべての部品に同じ測定方法を当てはめる、という意味ではありません。
外径や内径、長さなどの寸法に加え、部品によっては面の状態や、組み合わせる部分の関係も重要になります。全品を確認することと、その部品で何を確認すべきかを明確にすること。その両方が大切です。
「測る」前に、何を確かめるのかを考える
測定器に数字が表示されれば、それだけで検査が終わるわけではありません。図面のどの寸法を見ているのか、基準はどこか、測定器が適切に当たっているかによって、数字の意味が変わります。
たとえば、同じ円筒形の部品でも、外側の直径を確認するのか、穴の内側を確認するのかでは、見る場所も道具の使い方も違います。また、一か所の直径を測ることだけで、部品全体の形や面の状態まで分かるわけではありません。
検査は、ただ数字を読む作業ではなく、求められている条件と、実際の部品を照らし合わせる仕事です。加工する技術と同じように、確かめるための知識や注意も欠かせません。
自作ゲージによる確認も、そのための工夫
以前ご紹介した自社製のテーパーゲージも、部品の仕上がりを確かめるための工夫の一つです。一般に、ゲージは目的に合った形や基準を使って、部品の状態を確認するための道具です。
ただし、ゲージで確認できる内容と、測定器で数値として確認する内容は同じではありません。ゲージに合ったからといって、図面のすべての条件が確認できたことになるわけでもありません。
必要な確認に合う方法を考えることが大切です。自作ゲージの事例は田中機工の工夫の一つであり、すべての加工品に同じゲージを使っているという意味ではありません。
加工する責任と、確かめて届ける責任
加工した部品は、お客様のもとで別の部品と組み合わされ、機械や設備の一部になります。もし組み付けの段階で不具合が見つかれば、原因の確認や部品の手配に時間がかかってしまいます。
検査をしたから不具合が絶対に起きない、と言い切ることはできません。それでも、加工した一つひとつに向き合い、必要な確認を積み重ねることが、品質を支える基本だと考えています。
「つくって終わり」にせず、確かめてから届ける。派手な工程ではありませんが、この地道な積み重ねも、田中機工のものづくりの一部です。妥協なき全品検査への思いを、日々の仕事につなげていきます。
部品加工や検査に関するご相談は、図面とともに、特に重要な寸法や確認してほしい点をお知らせください。お問い合わせはお気軽にどうぞ





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